
広島経済大学
メディアビジネス学部学部長
北野 尚人
第45回広島広告企画制作賞は、2024年4月21日に中国新聞社において審査会を行った。今回の応募総数は昨年度より16作品増えた136作品で、内訳は、新聞・雑誌広告21作品、電波広告36作品、SP広告41作品、インターネット広告14作品、ウェブ動画広告16作品、屋外広告8作品だった。
2024年度は6名の審査員で審査を行った。修道大学の矢野泉学長に新たにご担当頂くとともに、特別審査員には、現役のクリエイターとして東京で活躍されている電通の西橋佐知子氏と、大阪で活躍されているタイガータイガークリエイティブの細田佳宏氏をお招きした。審査員の数は男女それぞれ3名ずつとなり、従来以上に様々な角度からの審査を行うことができた。審査員の皆様の忌憚のない的確なご意見に関して、感謝を申し上げたい。
今回の作品群は、「コロナ明け」が本格化した世相を反映し、「明るく」「楽しい」表現が多く見られた。具体的には、ユーモアあふれる表現、カラフルでポップな表現、イラストレーションを効果的に使った表現など、見るものを楽しませる工夫に満ちた広告が多かった。また、アイデアや広告表現のクオリティも年々向上しており、審査員の間で評価の分かれる作品も多く、楽しくも難しい審査となった。
最後に、広島広告企画制作賞に応募いただいた広告主・媒体社・広告会社・制作会社の皆様の熱意と努力に敬意を表するとともに、広島の広告業界が今後益々発展することを祈念して総評としたい。
講評 ビジネス客向けに開発された「S Work車両」の認知度向上とトライアルユースを目的として制作された新聞広告である。全30段の大スペースと「知らんかった。」のコピーによって、メインターゲットであるビジネス層を中心に幅広い新聞読者の高い注目度を獲得した表現である。新しい車両に準備された様々な設備やサービスをユーモラスなイラストと広島弁で表現した、分かりやすく親しみの持てる新聞広告である。新聞以外の幅広い媒体を活用したクロスメディア型の展開も見事である。(審査員長 北野尚人)
ビジネスパーソンが知りたいのぞみ7号車の情報をもれなく、わかりやすく伝えており、読んで楽しく、ためになる広告になっている。イラストも読んで思わず「知らんかった。」とつぶやいた人も多いのではないだろうか。実際、この広告が出されて以後、以前より7号車が混雑するようになったという実感もある。想定するユーザーの性別が偏っていない点もよい。(審査員 矢野泉)
新聞30段をS Work車両のPRだけに使う思い切りの良さ。「知らんかった」のコピーが効いている。サービスの紹介も説明的でないのにわかりやすい。同じポスターを路面電車の車内で見たときは、公共交通の連携の大切さがこういうところに現れる時代になったんだと感動した。情報発信後に7号車が混んできたのは、広告効果だと思われる。(審査員 増田泉子)
知らないともったいない情報を親しみやすく伝える手法に好感が持てる。(特別審査員 西橋佐知子)